CMに公正さを期待するのですか?

あえて、逆の立場で。
とりあえず身近な業界なので、思わず。

分かりにくい保険商品

アピタル(医療・健康)

そもそも、この商品は「生命保険」ではありませんし、もちろん「医療保険」でもありません。ポイントは「病気での入院」に対して保険金が支払われるとは、一言も言っていないことです。

「治療や入院の実費を最高100万円まで保障」とありますが、それは「ケガでの治療」に限られているのです。また、「お葬式の費用を保障」というのも、亡くなった場合に払われるのではなく、親族が負担する葬祭費用の「実費」を一定限度まで保障するというもの。

 つまり、これは「損害保険」商品なのです。

アピタル(医療・健康)

個人的には、これを聞いて「へー、そうなんだ。」くらいかな?
確かに意外性はあるんだけれど、ただ、いかにも詐欺です、というような書き方の方に違和感を感じてしまう。*1

もちろん、あのCMが正しいと言っている分けではない。
確かに誤解を招く余地もあるし全てを説明していないのだけれども、CMってそんなもんじゃないのですかね?
そういう意味で、この保険会社がイケナイというよりも、保険の具体的商品内容をCMで流すとしたら、こうならざるを得ないのではないかと思うわけですよ。

保険=悪?

そういう意味で、むしろ驚いたのははてなブックマーク
はてなブックマーク - asahi.com(朝日新聞社):「誰でも入れる」保険の真実(上) - 保険のカラクリ - 生命保険特集 - 健康

CMが分かりにくいことを問題としているコメントはフェアな視点。 ただ、今更ながら「保険=ギャンブル」みたいなコメントとか、「あれだけCM費用を使ったら払う分のこるのか?」などというのは、そもそもとして保険の仕組み、強いては金融というものを理解していないのではないかと思う。


全般的に国民のリテラシーが低い金融商品、特に身近ながらも仕組みに馴染みの薄い保険商品、さらにCMの数が多いので知名度があるということで、ことさら必要以上に騒がれているような気がする。


ここで取り上げられている商品だけれど、別に商品自体は悪くない。ただ、保証内容にしてはもちろん割高なのだけれど、それは告知がいらないのだから仕方ない。
営利企業である以上、事業費分は乗せないと販売できないし、また加入者が多いこと、つまりRisk負担を皆で実現できるからこそ保障が実現できるという側面もある。


もちろん、病気入院時でも保険金が支払われると勘違いしている人が皆無ということは無いと思う。ただ、十分に「ケガで」というのは表記されているし、また加入時にそれら重要事項の説明は法的*2にしなくてはならない。さらには、それら説明を受けないで契約をした場合、後から契約破棄をすることが可能。*3
なので、基本的に加入時にはしっかりと説明を受けているはずなのであって、CMを見たままの理解度で加入に至ることは無い(はず)。

保険の商品性に『良い』、『悪い』なんてのは無くて、求める保障内容に『合うか』、『合わないか』だけ。 後は、それに見合った保険料か否か。
同じ保障内容なら割安な方がいい、というだけの話。

「誤解する恐れのあるCM」というだけで、「分かりにくいCM!」という突っ込みよりも保険事態の仕組みが叩かれるあたりに、金融リテラシーの無さを感じる。

金融リテラシー云々

これについては書きたいこと大量にあるのだけれど、簡単に。

保険

保険という商品事態は、期待値を考えたら確実にマイナスなんです。
事業費が出ているから、当然。

じゃあ、保険に入るのは損なのか? というとそれはまた違う。
行動ファイナンスでいうところの、プロスペクト理論でいうところの"損失"に対する非合理的な回避を前提とするなら、保険という商品ではそれらを回避することが可能となる。
また、そもそもとして保険という仕組みには、Riskを分散して持ち合うという相互の助け合いみたいな側面もある。ある種の国民インフラなんですよ。

分配型投資信託

保険は場合によっては助けられることもあるけれど、グロソブに代表される分配型投資信託なんて税金分だけ"損"をするのは確実なのだから、こちらの方が良いか悪いかでいうと"悪い"と思ってしまったり。
民営化される前の郵便局での、投資信託に占める分配型投資信託の販売実績が、国民の金融リテラシーの無さを如実に物語っている。

*1:この著者自身は、保険コンサルティングによって収入を得ているということもまた事実。

*2:金融商品販売法。 その他の変額系の特定保険商品はさらに金融商品取引法で適合性の原則も求められる。

*3:消費者契約法、など